高糖度トマトに情熱

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 空知管内奈井江町の上杉直己さん(37)と奈津子さん(37)夫妻が、おいしいトマト作りの夢に向かい、同町茶志内の岡本農園で高糖度トマトの栽培に励んでいる。
 上杉さん夫妻はともに芦別市出身。直己さんは大学を卒業後、大手広告代理店に就職。その後、転職した企業で働くうちに農業に魅力を感じ、石狩管内新篠津村の「大塚ファーム」で2年間働いたあと、今年から岡本農園で研修している。来年には北海道農業公社の第三者農業経営継承制度を利用して経営を継承する予定だ。
 奈津子さんはサラリーマンから農業に転職することについて「本人がやりたいことを信じてついてきた。反対はしなかった」と振り返る。
 岡本農園代表の岡本哲夫さん(75)は、30aのビニールハウスに約7500本を栽培。5月下旬から10月中旬まで出荷する。
 一般にフルーツトマトといわれるものは糖度が8以上で、上杉さんが目指す高糖度トマトは7から8のもので、7.5を超えるあたりから特においしく感じるという。
 岡本さんは「あまり味にこだわると、ケガをする。収量が落ちたり糖度が落ちたり、バランスが大事だ」と語る。
 出荷時期を平準化するため定植時期を調整するが、栽培には気候が影響するため、今年は7月上旬までに収穫したものの品質が良かったという。水管理はかん水チューブを使用し、点滴で行う。栽培コストを削減するため、チューブの本数を加減などいろいろ研究中だ。
 販売は地元の市場から札幌中央卸売市場を通じて出荷し、札幌圏にある「ホクレンショップ」で購入できる。奈井江町の道の駅に並ぶこともあるが瞬時に売り切れる人気だ。
 直己さんは、「岡本さんのおいしいトマト栽培のノウハウを勉強できることは大きなメリット。ただ、就農して数年しかたっていないので知識不足。農業用語でもわからないこと多い」と話す。奈津子さんは「2歳の子供の子育てと農業の両立は大変だが、楽しいことのほうが多い」と現在の生活に満足している。
 二人の夢は「岡本さんと同じ味のトマトを作ること」。奈津子さんは「それを支えるのが私」と、共通の目標に向かって二人三脚で挑戦中だ。

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